第110問の解答


1.問題 [整数の性質

 左図のような1辺の長さが10cm立方体を、切り口が必ずどこかの面と平行になるような切り方で分割していきます。

 いま、この立方体を60個の立体に分割して、それらの表面積の和が最も小さくなるようにします。

  1. 何回切ればよいでしょうか。
  2. 60個の立体の表面積の和は何cm2になるでしょうか。

2.解答例

 3方向に分割する数をx,y,z個とし、x≦y≦zと仮定する。このとき、切る回数は、合計(x-1)+(y-1)+(z-1)=(x+y+z-3)回である。

 分割される立方体は60個だから、x*y*z=60であり、60=22×3×5と素因数分解できる。

 また、元の立方体のひとつの面の面積をとすれば、分割された立方体の表面積S'は、3方向に分けて数えると、それぞれの2*x倍、2*y倍、2*z倍となるので、S'=2*(x+y+z)*S となる。

 よって、分割された立方体の表面積を最小にすることは、x+y+zを最小にすることとなり、そのためにはx、y、zの積が一定なので、出来る限りx、y、zの値を近くする必要がある。

 従って、x=3、y=4、z=5のときが最小であり、切る回数は(3+4+5-3)=9回、表面積S'=2*12*100=2400cuとなる。

(参考)

 x、y、zが正の実数のときには、相加平均≧相乗平均より、
x+y+z≧3*3√x*y*z=3*3√60=11.74(等号は、x=y=z=3√60=3.91のとき。)
従って、x、y、zが整数のとき、x+y+z12となる。

 もちろん、x、y、zは整数であるので、とりうる値の組み合わせから最小値を求めるのがオーソドックスと思われるが、煩雑になるので説明は省略することとした。

 なお、x、y、zが1ではない、すなわち各方向とも必ず一回以上切るという仮定があれば、組み合わせの数はかなり少なくなり、x=2、y=3、z=10(x+y+z=15)、x=2、y=5、z=6(x+y+z=13)、x=3、y=4、z=5(x+y+z=12)の3とおりである。

以上