第206問の解答


1.問題 [整数の性質

問題図
左図のような、縦3列、横3列マス目があります。

 これらのマス目A〜Iのそれぞれに、1〜9の9つの整数を書き込むことにします。
(同じ数を2度使うことはできません)
このとき、次の各問いに答えてください。

(1)縦・横・ナナメのどの方向についても、3つの整数の和等しくなるような書き込み方は何通りあるでしょう?

(2)3ケタ整数ABC、DEF、GHIを考えます。
 DEFABC2倍GHIABC3倍になっているような書き込み方のうち、ABC最も大きくなる場合の整数ABCを答えてください。

2.解答例1長野美光さん、萬田銀次郎さん、ταροさん、香川仁志さん、あんみつさん、AUさん、溝部光洋さん、M.Hossieさん、うっしーさん、他多数)

[設問1]

題意を満たすものは魔方陣と呼ばれ、3×3のものは回転、折り返し等を除き下記の1通りしかないことが知られています。

参考図1

従って、回転の4通り×折り返しの2通り8通りとなります。

(参考)上記1通りしかないこと

まず、縦・横・ナナメの3つの整数の和とします。

参考図2

  A+B+C=S ・・・ (1)
  D+E+F=S ・・・ (2)
  G+H+I=S ・・・ (3)

(1)+(2)+(3)より、
  (A+B+C)+(D+E+F)+(G+H+I)=3S
  1+2+3+4+5+6+7+8+9=3S
  45=3S
よって、S=15

次に、真ん中のを求めます。

参考図3

  A+E+I=S ・・・ (4)
  C+E+G=S ・・・ (5)
  B+E+H=S ・・・ (6)

(4)+(5)+(6)より、
  (A+B+C)+3E+(G+H+I)=3S
  3E=S
  E=S/3=15/3=5。

さて、3つの整数を加えてS=15になるには、
 偶数+偶数+奇数、および奇数+奇数+奇数
のどちらかのタイプとなります。

もし、真ん中が、偶数+偶数+奇数のタイプと仮定すると、
各行とも偶数+偶数+奇数のタイプとなります。
またはのどちらかが偶数、残りが奇数となりますので、偶数奇数とすると、D,Fとも偶数なので、奇数偶数となります。
すると、からまでの整数の中に偶数6個奇数3個となり不適
奇数偶数の場合も同様。

また、もし、真ん中が、偶数+偶数+奇数のタイプと仮定しても全く同様に不適

参考図4

よって、真ん中の縦・横とも奇数、4隅が偶数と分かります。

ここで、が例えばとすると、2+5+I=15より対角線のI=8と決まります。
すると、C=6、G=4またはC=4、G=62通りとなり、4隅の偶数が決まれば残りの奇数一意的に求まります。

参考図5


は、2、4、6、84通りあるので、結局上記のように2×4=8通りとなります。

[設問2]

ABC×2=DEF、ABC×3=GHIで、GHI≦999よりABC≦333
A、B、Cは異なるのでABC≦329

そこで、ABC=329より順に小さくしていってABC×2、ABC×3を計算していくと、ABC=327が題意を満たすことが分かるので、これが最大である。

参考図6

(参考)
ABC、DEF、GHIのそれぞれをで割った余りは、A+B+C、D+E+F、G+H+Iで割った余りと等しい。
よって、ABC+DEF+GHI=ABC×6で割った余りは、(A+B+C)+(D+E+F)+(G+H+I)=45で割った余りと等しい。
これから、ABC3の倍数であることが分かるので、327から順に3の倍数を調べていくと良いことが分かる。

なお、題意を満たす整数ABCは、大きい順に3272732191924通りです。

答:(1)8通り(2)327

 以上