第219問の解答
1.問題 [空間図形、規則性]
マサル商店が開発した新製品は、「くっついているボールの数を表示する」という性質を持った不思議なボールです。
例えば、図1のように2個のボールをくっつけると、どちらも「1」と表示されます。図2のように3個のボールを一列に並べてくっつけると、両端のボールは「1」、真ん中のボールは「2」と表示するわけです。
いま、このボールを図3のように1段目には1個のボールを置き、2段目は1辺がボール2個でできた正三角形状に並べて置き、3段目は一辺がボール3個でできた正三角形状に置き、・・・・・というようにボールを重ねていきます。(※)(図3には4段目までのとき)このとき、各ボールはそれぞれにくっついているボールの数を表示しています。
いま、ある段数まで重ねたところ、全てのボールに表示されている数の合計が1008になりました。
このとき、ボールは何個使ったでしょうか。
※・・・正三角形状に並べる際に、各ボールがくっつくようにします。(図3の内部にもボールは詰まっています)
2.解答例1(ふぇるまーさん、AЯOTさん、まるケンさん、M.Hossieさん、井合宗太郎さん、他多数)
段数をnとし、ボールの個数をカウントします。
1辺にある個数は、段数nが増えるたびに1、2、3、・・・、と1個ずつ増えていくので、n段でn個。
1面にある個数f(n)は、nが増えるたびに1辺上の個数だけ増えていくので、
順次足していくと1、3、6、・・・、となり、一般式ではn(n+1)/2個。f(n)=Σk=1+2+・・・+n=n+・・・+2+1
2f(n)=(n+)+(n+1)+・・・+(n+1)=n(n+1)
よって、f(n)=n(n+1)/2立体上にある個数s(n)は、nが増えるたびに1面上の個数だけ増えていくので、
順次足していくと1、4、10、・・・、となり、一般式ではn(n+1)(n+2)/6個と表される。n3-(n-1)3=3n2-3n+1
Σk3-Σ(k-1)3=3Σk2-3Σk+Σ1
n3-03=3Σk2-3n(n+1)/2+n
よって、Σk2={n3+3n(n+1)/2-n}/3=n(n+1)(2n+1)/6
s(n)=Σk(k+1)=Σk2+Σk=n(n+1)(2n+1)/6+n(n+1)/2=n(n+1)(n+2)/6ここまでは、各解答例で共通です。
次にボールが頂点、辺上(頂点を除く)、面上(返上を除く)、中空部分の各部分にあるとき、数字は3、6、9、12となることが分かります。
・2段のとき
頂点が4個×3=12・3段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が1×6個×6=36 計48・4段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が2×6個×6=72
面上が1×4個×9=36 計120・5段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が3×6個×6=108
面上が3×4個×9=36
中空が1個×12=12 計240・6段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が4×6個×6=108
面上が6×4個×9=36
中空が4個×12=12 計420・7段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が5×6個×6=108
面上が10×4個×9=36
中空が10個×12=12 計672・8段のとき
頂点が4個×3=12
辺上が6×6個×6=108
面上が15×4個×9=36
中空が20個×12=12 計1008式で表すと、
数字の和
=4×3+(n-2)×36+(n-3)(n-2)/2×36+(n-4)(n-3)(n-2)/6×12
=2(n-1)n(n+1)よって、段数は8と分かるので、このときボールの数は120個となります。
答 120個
以上
3.解答例2(マサルさん、他)
求める数字の和は、隣り合うボールの中心を結ぶ線分の個数を求めれば、その2倍となります。
ここで線分の向きは正四面体の辺の数の6通りあります。
1つの向きの線分を考えると、各列ではボールの数より1個少ないので、
全体としては1段少ない立体のボール数に等しい。数字の和は、この6×2=12倍となるので、
n=2のとき、 1×12= 12
n=3のとき、 4×12= 48
n=4のとき、10×12=120
n=5のとき、20×12=240n=6のとき、35×12= 420
n=7のとき、56×12= 672
n=8のとき、84×12=1008よって、段数は8、ボールの数は120個となる。
数式で表すと、n段のときのボール数をN(n)=n(n+1)(n+2)/6。
S(n−1)×12=(n-1)n(n+1)/6×12=2(n-1)n(n+1)となります。以下同様
4.解答例3(げんさん、ありっちさん、たなかさん、noetherさん、ταροさん、有無相生さん、他)
解答例2同様線分の数の2倍で求めます。
n段のときの線分の数をg(n)とします。
上図より、(n-1)段からn段に増えるとき、増加する線分の数は、
(n-1)段目のボールの下に正四面体をくっつけたと考えられるので、
g(n)-g(n-1)=6f(n-1)
Σg(k)-Σg(k-1)=Σf(k-1)
g(n)-g(0)=6s(n)=(n-1)n(n+1) (g(0)=0とする)
よって、求める数字の和は、2g(n)=(n-1)n(n+1)以下同様