第257問の解答
1.問題 [空間図形、平面図形]
左図のような三角錐ABCDがあります。
この三角錐は、AB=9cm、AC=15cm、AD=16cm、BC=12cm、∠ABC=90度となっています。
また、∠BAC=∠CADで、頂点Aに集まる3つの角の和は180度になっています。
では、三角錐ABCDの表面積は何cm2でしょうか。
2.解答例1(ヒデー王子さん、小杉原啓さん、トトロ@Nさん、まるケンさん、他)
三角錐の展開図を△ACDを中心に書くと、図1のようになる。
ここで、∠BAC+∠CAD+∠ABD=180度だから、B、A、B1は1直線上にある。
また、B、C、B2も1直線上に並ぶように見えますが、それを直接証明することは難しい。
(B、C、B2が1直線上にあること)
そこで、B2は、辺BCの延長上にCB2=BC=9cmにとり、D'を直線AD(またはその延長線)上にD'B1=D'B2となるようにとる。
また、点EをB1とB2の中点、DEを延長しACとの交点をFとする。
D'B1=D'B2より、D'はB1B2の垂直2等分線上にあるので、D'EとB1B2は直交する。
また、B1B2はACと平行より、D'FもACに直交する。
中点連結定理より、AEはBB2に平行でAE=BB2×1/2=BC=12cm。
同様にECは、BB1に平行でEC=AB=9cm。
従って、△AEF∽△CABとなり、AF=AE×4/5=12×4/5。
また、△D'AF∽△CABとなり、AD'=AF×5/3=12×4/5×5/3=16cm。
よって、D'はDと一致する。
さてここで、もし実際のB2がBCの延長線上になく、別の位置B'にあると仮定する。
すると、D'B'=B1D'=D'B2、CB'=CB2=12cm、CD'は共通と3辺が等しくなり、△D'CB'≡△D'CB2。
すなわち、これはB'がB2と異なることに反する。
よって、B、C、B2は1直線上に並びます。
(三角錐の表面積)
図2で考えます。
△ABC=1/2×9×12=54cm2。
△ACD=1/2×15×(16×4/5)=96cm2。
よって、四角形ABCD=△ABC+△ACD=54+96=150cm2。なお、図3のように△ACDをひっくり返すと、台形になり、
面積は1/2×(9+16)×12=150cm2と求まります。
ここで、四角形ABCDを△DBAと△DBCに分割する。
すると、△DB1Aと△DBAは底辺が9cmで等しく高さが共通より、面積は等しい。
同様に、△DCB2と△DCBは底辺が12cmで等しく高さが共通より、面積は等しい。
よって、△DB1A+△DCB2=△DBA+△DCB=150cm2。
以上から、求める表面積は150×2=300cm2。答:300cm2
以上
3.解答例2
図1の展開図で、△AB1Dを裏返して、辺ADを辺ABと平行に、点B1を点Dにくっつけるように移動します(図4)。
(△AB1Dを移動して台形を作る)
α=∠BCA、β=∠BAC、γ=∠B1ADとおきます。
γ=180度−2β=2α。
よって、三角関数の倍角公式より、
sinγ=sin2α=2sinαcosα=2×3/5×4/5=24/25、
cosγ=cos2α−sin2α=(4/5)2−(3/5)2=7/25。
これより、AE=ADsinγ=16×7/25、ED=ADcosγ=16×24/25。
B1F=AB1sinγ=9×24/25、AF=AB1cosγ=9×7/25、
FD=AD−AF=16−9×7/25。以上を算数的に考えると、次のようになります。
AG=AD×3/5=16×3/5、JH=KG=AG×3/5=16×9/25。
DG=AD×4/5=16×4/5、DH=DG×4/5=16×16/25。
よって、AE=DJ=DH−JH=16×16/25−16×9/25=16×7/25。
IG=AG×4/5=16×12/25、GH=DG×3/5=16×12/25、
よって、ED=IG+GH=16×24/25。
B1F=AB1×ED/AD=9×24/25、AF=AB1×AE/AD=9×7/25、
FD=AD−AF=16−9×7/25。
さて、DF'はA'D'と直交しているので、ABとも直交、
よって、E、D、F'は1直線上に並びます。また、F'D'=FD=16−9×7/25=337/25、EB=AB+AE=9+16×7/25=337/25。
よって、F'D'=EB。従って、D'はBCの延長線上にあります。さらに、EF'=ED+B1F=16×24/25+9×24/25=(16+9)×24/25=24、
従って、BD'=EF'=24、CD'=BD'−BC=24-12=12。
すると、DD'=DB2、CD'=CB2より、△DCD'≡△DCB2。
よって、D'とB2は一致します。また、∠A'DF'=90度−γ=∠ADE、よってA、D、A'は1直線上にあります。
以上から、求める三角錐の表面積は、台形A'ABD'の面積に等しく、
1/2×(9+16)×24=300cm2となります。答:300cm2
以上
4.解答例3(ミミズクはくず耳さん、まるケンさん、他)
まず、三角錐は一意的に決まることに注意しましょう。
何故なら、題意より△ABC、△ACD、△ADBとも、2辺とこれを挟む角が決まっていますので、それぞれ一意的に決まります。
すると△BCDの3辺が決まるので、これも一意的に決まります。さて、図6のように辺の長さが3:4:5の直角三角形に相似な3種類の三角形をくっつけます。すなわち、△ABCは、3×3:3×4:3×5、△CEFは4×3:4×4:4×5、△ACFは4×3:4×4:4×5になっています。
すると、∠ACB+∠ACF+∠FCE=(∠ACB+∠FCE)+∠ACF
=(∠ACB+∠CAB)+90度=90度+90度=180度。
よって、B、C、Eは1直線上に並びます。
FE、ABとも辺BEに直交するので、四角形ABDFは台形となります。
ちなみに、この台形の面積は、1/2×(9+16)×24=300cm2です。ここで、辺AF上にAD=16cmとなるように点Dをとります。DF=AF−AD=9cm。
そして、△EFDを裏返して点Eを点Dに、点Fを点Aにくっつけるように移動し、点Dが移動したものを点Gとします。AG=DF=9cm=AB、BC=CE=12cm、GD=DE、AD=16cmであることから、△GAD、△ABC、△DCE、△ACDを合わせた図形は、ある三角錐の展開図になっています。
ところで、∠GAD+∠DAB=∠DFE+∠DAB=180度、よってB、A、Gは1直線上に並びます。従って、図6の四角形GBEDは、本題の三角錐の展開図の一つになります
先に示したように三角錐は一意的に決まりますので、
求める表面積は、四角形GBED=台形ABDF=300cm2となります。
4−2.解答例3−2(Mr.Xさん)・・・追加しました
三角錐の4つの面をばらして、△ACDを裏返しにし、△ABCの辺ACに合わせます。
題意より∠ACD=∠BACだから、
∠BCD=∠BCA+∠ACD
=∠BCA+∠BAC
=90度。
従って、四角形DABCは台形となります。BC=9cm、CD=12cmより、△BCD∽△ABC、
よって、∠BDC=∠ACB=∠ABD。さて、頂点Dから∠EDB=∠BDCとなるように直線を引き、DE=AB=9cmとします。
△EDBと△ABDについて、ED=AB、BDは共通、∠EDB=∠ABDだから
二辺挟角が等しいので合同。
よって、EB=AD=D2C2。△EDCと△B1A1D1について、ED=A1B1=9cm、DC=A1D1=16cm、
∠EDC=2×∠BDC=2×(90度−∠BAC)=∠B1A1D1となり、
二辺挟角が等しいので合同。
よって、EC=B1D1=D2B2。△EBCと△D2C2B2について、EB=D2C2、EC=D2B2、BC=C2B2=12cmとなり、
三辺が等しいので合同。従って、△B1A1D1+△D2C2B2
=△EDC+△EBC
=四角形DEBC
=四角形DABC。従って、三角錐の表面積
=2×四角形DABC
=2×1/2×(9+16)×12
=300cm2
5.解答例4(マサルさん、ヘロン久野さん、他)
図7のように、辺の長さが15:20:25の直角三角形ACEとFCEを合わせて二等辺三角形EAFを作ります。この面積は、15×20=300cm2です。
辺EA上にEB=16cmとなるように点Bを、辺EF上にED=9cmとなるよう点Dをとります。そして、△EBDを裏返して、点Bを点Dに、点Dを点Bにくっつけるよう移動します。
このとき、点Eが移動した先をE'とします。すると、AB=BE'=9cm、AC=FC=15cm、FD=E'D=16cmとなり、
これらは△BCDを底辺とする三角錐の展開図になっていることが分かります。さて、△ABCと△ACEは、AB:AC=9:15=3:5、AC:AE=15:25=3:5、
∠BACと∠CAEは共通より、△ABC∽△ACE。
よって、△ABCは辺の長さが9:12:15の直角三角形となります。また、∠BAC=∠CFD、∠BAC+∠CFD+∠BED=2×(∠BAC+∠BEC)=180度となり、図7が本題の三角錐の展開図となることが分かります。
従って、求める表面積=△EAC=300cm2。
6.解答例5(高田修成さん、ハラギャーテイさん、有無相生さん、M.Hossieさん、a_pepperさん、他多数)
図8のように、α、β、γをとります。
sinα=cosβ=3/5、cosα=sinβ=4/5。題意より、
γ=180度−2β=2×(90−β)=2α、
よって、倍角公式より、
sinγ=sin2α=2sinαcosα=2×3/5×4/5=24/25、
cosγ=cos2α=cos2α−sin2α=(4/5)2−(3/5)2=7/25。余弦定理より、
B1D=√(92+162−2・9・16・cosγ)=(√6409)/5
CD=√(152+162−2・15・16・cosβ)=√193。正弦弦定理より、
sinδ/AD=sinβ/CD、
よって、
sinδ=AD/CD・sinβ=16/√193×4/5=(64/965)√193、
cosδ=√(1−sin2δ)=(27/965)√193。
また、余弦定理より、
cosε=(CD2+122−B2D2)/(2・CD・12)
=(193+144−6409/25)/(24√193)
=(84/4825)√(193)。
sinε=√(1-cos2ε)=(337/4825)√193。従って、
△ABC=1/2×9×15×sinβ=1/2×9×15×4/5=54cm2
△ACD=1/2×16×15×sinβ=1/2×16×15×4/5=96cm2
△AB1D=1/2×9×16×sinγ=1/2×9×16×24/25=1728/25cm2
△DCB2=1/2×12×CD×sinε=1/2×12×√193×(337/4825)√193=2022/25cm2
よって、求める三角錐の表面積
=△ABC+△ACD+△AB1D+△DCB2
=54+96+1728/25+2022/25
=150+150
=300cm2
と分かります。
(参考)B、C、B2が、一直線上に並ぶこと
cos(α+δ)=cosαcosδ−sinαsinδ
=4/5・(27/965)√193−3/5・(64/965)√193
=-(84/4825)√193。従って、cos(α+δ)=−cosεとなり、
0<α+δ<180度、0<ε<180度から、(α+δ)+ε=180度が成り立ち、
B、C、B2は一直線上に並ぶことが分かります。(参考)∠AB1D+∠CB2D=90度となること
正弦弦定理より、
sinφ/AB1=sinγ/B1D、
よって、
sinφ=AB1/B1Dsinγ
=9/((√6409)/5)・24/25
=(216/32045)√6409sinψ/CD=sinε/DB2、
よって、
sinψ=CD/DB2sinε
=√193/((√6409)/5)・(337/4825)√193
=(337/32045)√6409従って、sin2φ+sin2ψ=(2162+3372)/320452・6409=1となり、
図8より、0<φ<90度、0<ψ<90度から、φ+ψ=90度が成り立ちます。