第307問の解答
問題 [平面図形 ]
上の図のような二等辺三角形A、Bがそれぞれたくさんあります。 いま、この2種類の三角形を何枚か使い、隙間がないように並べて三角形を作ります。
例えば、Aの三角形とBの三角形を1枚ずつ使った場合は、上の図の右のような三角形が出来ますね。このとき、使う三角形の枚数(AとBの合計)として考えられるもののうち、2ケタでかつ素数であるものをすべて答えて下さい。
解答例1[算数]
ステップ ばい ステップさん、Toru Fukatsuさん、有無相生さん
問題の三角形は図1のように、正五角形を分割してつくることができます。
(補題1)A、Bの2つの辺a、bの比、面積比は、(1+√5)/2・・・無理数 三角形Aの斜辺の長さをa、底辺の長さをbとし、辺の比a/b(=xとおきます)を求めてみます。
図2より、A+Bの三角形はBと相似、
よって、(a+b):a=a:b。
1+b/a=a/b
1+1/x=x
x2−x−1=0
この2次方程式の正の根より、x=(1+√5)/2と求まるので、辺の比a/bは無理数となります。次に、三角形AとBの面積比を求めます。
図2より、
x2・B=A+B
よって、
A/B=x2−1=x=(1+√5)/2となり、これも無理数となります。
(補題2)題意のような三角形(合成三角形と呼びます)はAまたはBと相似なものに限る 合成三角形は、AまたはBと相似なものに限ることが次のようにして分かります。
合成三角形はA、Bを敷き詰めて作るので、3つの頂点の角度は、AまたはBの頂点の角度、あるいはこれらの和になります。
ところが、A、Bの頂点の角度は、いずれも36度の倍数なので、合成三角形の頂点の角度も、36度の倍数となります。これらを小さい順にk1×36度、k2×36度、k3×36度、とおくと、
k1×36度+k2×36度+k3×36度=180度
従って、k1+k2+k3=5となります。この条件を満たすのは、k1=1、k2=1、k3=3(三角形B)またはk1=1、k2=2、k3=2(三角形A)しかありません。
(補題3)合成三角形は敷き詰めるA、Bの個数は一意的に決まる ある合成三角形をA、Bで敷き詰めるたとき、A、Bの個数の組み合わせ方が2通りあったと仮定します。
すると、この合成三角形の面積が、2組の整数p、qとp'、q'により、
pA+qB=p'A+q'Bと表されることになります。これより、(p−p')A=(q'−q)B、
よって、A/B=(q'−q)/(p−p')となり、A/Bが無理数であることに反します。従って、A、Bの個数は一意的に決まります。
また、合成三角形の各辺の長さは、A、Bの辺の長さの和となりますが、いずれか一辺の長さが決まれば残りの二辺も決まります。
そこで、合成三角形、およびこれを敷き詰めるA、Bの個数合計を、次のように名付けることとします。
(ただし、m≧0、n≧0で、m、nいづれかは0でない整数)
Aと相似で、底辺の長さがma+nbと表せる合成三角形 ・・・ A(m、n)
これらを敷き詰めるA、Bの個数合計 ・・・ P(m、n)
Bと相似で、斜辺の長さがma+nbと表せる合成三角形 ・・・ B(m、n)
これらを敷き詰めるA、Bの個数合計 ・・・ Q(m、n)残るは、A(m、n)、B(m、n)をどう敷き詰めるかだけになります。
(補題4)P(m、n)=(3m+n)(m+n)、Q(m、n)=(m+n)2+ m2 まず、A(m、n)について考えます。
図4のように、A(m、n)は、
A(0,1)=A ・・・ n2個
Aと相似で底辺の長さがaのもの=A(1,0) ・・・ m2個
Bと相似で斜辺の長さがaのもの=B(1,0) ・・・ 2mn個
に分割できます。
また、図5、6より、A(1,0)=2A+B、およびB(1,0)=A+B と分かるので、
A(m、n)
=n2A+m2(2A+B)+2mn(A+B)
=(2m2+2mn+n2)A+(m2+2mn)Bよって、P(m、n)
=(2m2+2mn+n2)+(m2+2mn)
=3m2+4mn+n2
=(3m+n)(m+n)
次に、B(m、n)について考えます。
図5のように、B(m、n)は、
B(0,1)=B ・・・ n2個
Bと相似で斜辺の長さがaのもの=B(1,0)・・・ m2個
A(0,1)=A ・・・ 2mn個
に分割できます。
従って、B(m、n)
=n2B+m2(A+B)+2mnA
=(m2+2mn+n2)A+m2Bよって、Q(m、n)
=(m2+2mn+n2)+m2
=(m+n)2+m2
補題4より、P(m、n)=(3m+n)(m+n)となるが、これが素数となるには、m+n=1でなければならない。
このとき、m=0、n=1またはm=1、n=0となり、3m+n≦3(m+n)=3となるので2桁の整数にはならない。よって、Aと相似な合成三角形は題意を満たさない。
補題4より、Q(m、n)=(m+n)2+m2となり、これが2桁以下の整数となるものは下表のとおり。
題意を満たす2桁の素数となるのは、
13、17、29、37、41、53、61、73、89、97
の10通りとなります。(図8、図9参照)
答: 13、17、29、37、41、53、61、73、89、97
以上