第350問の解答
問題[空間図形]
左図のような、四角形2枚(面ABCDと面EFGH)と三角形8枚でできた10面体ABCD−EFGHがあり、面ABCDと面EFGHは平行になっています。
また、面ABCDと面EFGHの面積はともに20cm2、この10面体の高さ(面ABCDと面EFGHの距離)は6cmです。
ここで、この10面体をちょうど高さが半分になるように切断したところ(図の赤い線)、切断面の面積が22cm2となったそうです。
このとき、この10面体の体積を求めてください。
解答例1
M.Hossieさん、フランク長いさん、takaisaさん、ponta55555さん、 他
A、B、C、Dから底面に下ろした垂線の足をA'、B'、C'、D'、および、E、F、G、Hから上面に下ろした垂線の足をE'、F'、G'、H'とします。また、図2は真上から立体を見た図です。
図1より、十面体は、上面をAE'BF'CG'DH'、底面をA'EB'FC'GD'Hとする八角柱から、8個の三角錐を除いたものとなります。
従って、求める十面体の体積をVとすると、
V=八角柱−(三角錐A-A'HE+三角錐B-B'EF+三角錐C-C'FG+三角錐D-D'GH)
−(三角錐E-E'AB+三角錐F-F'BC+三角錐G-G'CD+三角錐H-H'DA) ・・・ (1)上面の面積をS1、真ん中の八角形の面積をS2、底面の面積をS3、八角柱の上面・底面の面積をS4とし、
図2で分割された各三角形の面積を、T1、・・・、T8、s1、・・・、s8とします。すると、題意より、例えばT3は、赤い線の内側と外側に2等分、S6は3:1に分割されることから、
S4−S2=(T1+T2+T3+T4+T5+T6+T7+T8)/2
+(s1+s2+s3+s4)/4+(s5+s6+s7+s8)/4 ・・・ (2)
S2−S1=(T1+T2+T3+T4+T5+T6+T7+T8)/2
+(s5+s6+s7+s8)×3/4−(s1+s2+s3+s4)/4 ・・・ (3)
S2−S3=(T1+T2+T3+T4+T5+T6+T7+T8)/2
+(s1+s2+s3+s4)×3/4−(s5+s6+s7+s8)/4 ・・・ (4)T=T1+T2+T3+T4+T5+T6+T7+T8、s=s1+s2+s3+s4、s'=s5+s6+s7+s8とおくと、
{(3)+(4)}÷2より、
S2−(S1+S3)/2
=(T/2+s'×3/4−s/4)+(T/2+s×3/4−s'/4)
=T/2+s/4−s'/4
=S4−S2
となります。よって、
S4=S2×2−(S1+S3)/2 ・・・ (5)
=22×2−(20+20)/2
=24cm2
となります。さて、立体の高さをh=6cmとおくと、
三角錐A-A'HE=1/3×△A'HE×h、三角錐B-B'EF=1/3×△B'EF×h
三角錐C-C'FG=1/3×△C'FG×h、三角錐D-D'GH=1/3×△D'GH×h
より、
三角錐A-A'HE+三角錐B-B'EF+三角錐C-C'FG+三角錐D-D'GH
=1/3×(△A'HE+△B'EF+△C'FG+△D'GH)×h
=1/3×(S4−S3)×h ・・・ (6)同様に、
三角錐E-E'AB+三角錐F-F'BC+三角錐G-G'CD+三角錐H-H'DA
=1/3×(△E'AB+△F'BC+△G'CD+△H'DA)×h
=1/3×(S4−S1)×h ・・・ (7)よって、(1)、(6)、(7)より、
V=S4×h−1/3×(S4−S3)×h−1/3×(S4−S1)×h
=1/3×(S4+S1+S3)×h
=1/3×[{S2×2−(S1+S3)/2}+S1+S3]×h
=1/6×(S1+S2×4+S3)×h ・・・ (8)
=1/6×{20+22×4+20}×6
=128cm2
と求まります。答: 128cm3
以上
解答例2
中村明海さん、 他
解答例1の(8)は、定積分に関するシンプソンの公式になっています。
シンプソンの公式は、a、b、cが等間隔に並ぶとき、
2次関数 f(x)を区間[a、c]で積分すると、 (c-a)(f(a)+4f(b)+f(c))/6というものです。解答例1と同様に、十面体を八角柱から8個の三角錐を除いたものと考えると、
八角柱、各三角錐とも水平に切った断面の面積は、底面からの高さに関する2次関数として表されるので、
これらの合計である十面体についても断面積は高さに関する2次関数となり、シンプソンの公式が成り立ちます。
例えば、上図は四角錐(高さh)を頂点からk:(1-k)で切断した立体 の場合、
V=1/3×S3×h×(1−k3)
となります。
一方、
V'=(1−k)×h×{S1+S2×4+S3}/6
=(1−k)×h×[S3×(1−k2)+S3×{(1+k)/2}2+S3]/6
=h×S3×(1−k)×(1+k+k2)/3
=h×S3×(1−k3)/3
より、確かにV'=Vとなり、シンプソンの公式が成り立っています。従って、
十面体の体積=(20+22×4+20)/6×6=128cm2
と求まります。
(その他の解法)
22を底面とする三角錐4個と、20を底面とする三角錐2個に分割して計算 ・・・ ねこやんさん 他
22×4+20×2=128
大きい4角錐を途中で切り、小さな三角錐4つ切ったとして計算 ・・・ 小西孝一さん 他
上面、底面を円と見なして計算 ・・・ mhayashiさん 他
22*6-(22-20)*6/3=128
底面積20高さ6の四角柱+底面積(22−20)高さ6の断頭三角柱とみなして計算 ・・・ Banyanyanさん 他
側面を正三角形だとみなして、方程式を解いて計算 ・・・ 高田修成さん 他
定積分で計算 ・・・ Hamayanさん 、kasamaさん 他
切断面の面積は高さの2次関数なので、y=22-(2/9)x^2 を-3から3まで定積分して求める