第353問の解答


問題[場合の数]

問題図

 トモエさん、マサルさん、ツヨシ君、マサヒコ君、サトルさん、ヤオミン君の6人身長はそれぞれ120cm、140cm、160cm、180cm、200cm、220cmです。

この6人が縦に1列に並ぶとき、背の低い順に並べば全員前方を見ることが出来ますが、 左図のような並び方をすると、ツヨシ君、マサヒコ君、サトルさん、ヤオミン君の4人は前方を見ることができますが、トモエさん、マサルさんは前の人の背中しか見えません。

では、この6人の並び方で、「4人だけが前方を見ることができる」ような並び方何通りあるでしょうか。


解答例1

まるケンさん、takaisaさん、ponta55555さん、中村明海さん、 他

6人に対して、背の低い順番号をつけます。

まず、6人全員が見えるのは、6人が背の低い順に並ぶ1通りだけです。

次に、5人が見える(1人だけが見えない)場合を考えてみましょう。
見えない1人を選ぶのは、1番背の高6番を除く、1〜5番5通りあります。
見えない人の番号で場合分けして数えます。

  • 見えないのが1番の人のとき:この人は1番低いので、2〜6番のどの人の後ろに来ても見えない・・・5通り

  • 見えないのが2番の人のとき:この人より高い3〜6番の後ろに来ると見えない・・・4通り

  • 見えないのが3番の人のとき:この人より高い4〜6番の後ろに来ると見えない・・・3通り

  • 見えないのが4番の人のとき:この人より高い5〜6番の後ろに来ると見えない・・・2通り

  • 見えないのが5番の人のとき:この人より高い6番の後ろに来ると見えない・・・1通り

参考図1

では、いよいよ4人が見える(2人が見えない)場合を考えてみましょう。
見えない2人を選ぶのは、1番背の高6番を除く5人から2人を選ぶ5C2=10通りあります。
見えない人の番号で場合分けして数えます。

  • 見えないのが1番、2番のとき:
    まず大きい2番の人は3〜6番の後ろに来る場合・・・4通り
    1番
    の人は、2番の人の場所にかかわらず残り5人いずれかの後ろへ来る・・・5通り
     

  • 見えないのが1番、3番のとき:
    まず大きい3番の人は4〜6番の後ろに来る場合・・・3通り
    1番
    の人は、3番の人の場所にかかわらず残り5人いずれかの後ろへ来る・・・5通り
     

  • 見えないのが1番、4番のとき:
    まず大きい3番の人は5〜6番の後ろに来る場合・・・2通り
    1番
    の人は、4番の人の場所にかかわらず残り5人いずれかの後ろへ来る・・・5通り
     

  • 見えないのが1番、5番のとき:
    まず大きい5番の人は6番の後ろに来る場合・・・1通り
    1番
    の人は、5番の人の場所にかかわらず残り5人いずれかの後ろへ来る・・・5通り

参考図2

以下、同様にして、
 合計=(4+3+2+1)×5+(3+2+1)×4+(2+1)×3+1×2=85通りと求まります。

なお、同じ考え方でn人いて、そのうちk人が見える場合をS(n、k)とすると、
 S(n、k)は、(n-1)以下の整数より(n-k)個選んで掛け合わせたものの
となることが分かります。

従って、f(x)=(+1)(+2)・・・(n-1)とすると、
 S(n、k)は、f(x)k-1の係数と考えることもできます。

本問はS(6、4)を求めることになり、数式処理ソフトを使って展開すると、
 f(x)
=(+1)(+2)(+3)(+4)(+5)
    =5+154+853+2252+274+120
3の係数85と求まります。

(参考)第1種スターリング数
 s(n、k)x(x−1)(−2)・・・(−(n-1))のkの係数
 従って、今回のS(n、k)第1種スターリング数絶対値となり、
 符号無し第1種スターリング数とも呼ばれているようです。

: 85通り

以上


解答例2

Toru Fukatsuさん、清川 育男さん、ミミズクはくず耳さん、 他

解答例1と同じく、n人いて、そのうちk人が見える場合をS(n、k)として、
 S(n+1、k)
に対する漸化式求めます。

参考図3

n人が並んでいる後に1番小さい人を並べるものと考えます。

  • n人中(k−1)人が見えていたとき:
    後の人見える位置、すなわち1番前に並ぶ必要がある・・・S(n、k−1)通り
     

  • n人中k人が見えていたとき:
    後の人見えない位置、すなわちn人の人のいずれかの後ろに並ぶ必要がある
     ・・・S(n、k)×n通り

従って、
 S(n+1、k)S(n、k−1)+S(n、k)×n
を得ます。

S(n、0)=0、S(1、1)=1から順次求めると、下表のようになり、S(6、4)85と求まります。

参考図4

(補足)
 S(n、n)=1
 S(n、n−1)=Σj(j=1〜n-1)=n(n-1)/2≧2)
 S(n、n−2)=Σj×k(j,k=1〜n-1,j>k)=n(n-1)(n-2)(3n-1)/24n≧3)
および
 S(n、1)=(n-1)! 
が成り立ちます。


(その他の解法)