第381問の解答
問題[空間図形(整数の性質)]
一辺の長さが1cmの白い立方体Aがたくさんあります。この立方体を積み上げて、一辺の長さがアcmの立方体Bを作ります。
立方体Bの6つの面のうち、イ面だけをペンキで赤く塗ってからバラバラにしたところ、ペンキが塗られていない立方体Aは全部で1200個あったそうです。
ア、イはいくつでしょうか?
解答例1
あ〜く@旧Nさん、Taroさん、CRYING DOLPHIN さん、DrKさん、クララさん、中村明海さん、M.Hossieさん、ほげさん、有無相生さん、きょろ文さん、小西孝一さん、シンクロさん、nyamoさん、 他多数
立方体Bの1辺の長さをncmとします。
X、Y、Z方向にそれぞれ2面ずつありますが、そのうちx、y、z面にペンキを塗るものとします。
(0≦x、y、z≦2)このとき、ペンキが塗られないで残るのは、辺の長さが(n-x)、(n-y)および(n-z)cmの直方体となり、この中には立方体Aが(n-x)(n-y)(n-z)個だけ含まれています。
従って、
(n-x)(n-y)(n-z)=1200 ・・・ (1)
でなければなりません。1200=12×10×10だから、(1)を満たすものとして、
n=12、(x、y、z)=(0、2、2)
が考えられます。このとき、ペンキを塗った面は、
x+y+z=4面
となります。
さて、これ以外に条件(1)を満たすものがあるでしょうか?
n1=n-x、n2=n-y、n3=n-zとおいて考えてみましょう。簡単にするため、n1≧n2≧n3とすると、条件(1)は、
n1×n2×n3=1200(ただし、n≧n1≧n2≧n3≧n-2) ・・・ (2)
と書き換えることができます。(2)より、
n3≧n1×n2×n3=1200≧(n-2)3 ・・・ (3)
となります。ところが、
113=1331>1200>103=1000
なので、(3)を満たすのは、n=12、またはn=11に限られます。(T)n=12のとき
(2)より、12≧n1≧n2≧n3≧10となりますが、
11は1200の約数ではないので、n1、n2、n3は12または10となります。n1=n2=n3=10とすると、n1×n2×n3=103=1000となり不適、
よって、いずれか1個は12でなければなりません。
従って、3個のうち最大のn1が12と決まります。よって、n2×n3=1200÷12=100となり、n2=n3=10と決まります。
(U)n=11のとき
(2)より、11≧n1≧n2≧n3≧9となりますが、
11は1200の約数ではないので、10≧n1≧n2≧n3≧9となり、
従って、1200>103=1000≧n1×n2×n3となり不適です。以上から、題意を満たすものは、
n=12、n1=12、n2=n3=10
に限ることが分かります。答: ア:12cm、イ:4面
以上
解答例2
ミミズクはくず耳さん、すてっぷさん、オモシロ※※館館長「影」さん、他
解答例1で(n-x)(n-y)(n-z)の組み合わせは、x、y、zの3個について、0、1、2から重複を許して選ぶ重複組み合わせ3H3=3+3-1C3=10通りあります。
解答例1同様、n=12、またはn=11に限られることが分かるので、それぞれについて10組の積の値を計算してみます。
図2
すると、積が1200となるのは、
n=12、積=n×(n-2)×(n-2)= 12×10×10
のみであることが分かります。
解答例3
DrKさん、ほげさん、小学名探偵さん、他
ここでは、一般的に与えられた整数Nが、因数間の差が2以下の3つの整数の積で表されるとき、その表し方は一通りしかないことを背理法で証明してみましょう。
N=n1×n2×n3=M=m1×m2×m3
(ただし、n1≧n2≧n3、n1−n3≦2、m1≧m2≧m3、m1−m3≦2、およびn1≧m1)
と2通りに表されたとします。まず、解答例2の図2で、n≧3のとき、常にN1>N2>N3>・・・>N10となることを確認します。 ・・・ (**)
・N1>N2>N3 ・・・ 各因数の大小関係より明らか
・N3>N4 ・・・ (n−1)×(n−1)>n×(n−2)だから
・N4>N5 ・・・ N4−N5=(n3−2n2)−(n3−3n2+3n−1)=n×(n−3)+1>0
・N5>N6 ・・・ (n−1)×(n−1)>n×(n−2)だから
・N6>N7 ・・・ 各因数の大小関係より明らか
・N7>N8 ・・・ (n−1)×(n−1)>n×(n−2)だから
・N8>N9>N10 ・・・ 各因数の大小関係より明らか(T)n1≧m1+2のとき
n1>m1、n2、n3≧n1−2≧m1≧m2、m3より、
N=n1×n2×n3>m1×m2×m3=Mとなり、不適。(U)n1=m1のとき
n=n1=m1とすると、N、Mは図2のN1〜N10のいずれかとなるが、
(**)よりN=Mならば、(n1、n2、n3)=(m1、m2、m3)となって、不適。(V)n1=m1+1のとき
NはN1、N2、N3、N4、N6、N8のいずれか、MはM1、M2、M3、M4、M6、M8のいずれかになります。 ところが、M1=N5、M2=N7、M3=N9なので、N=Mとはなりません。
(その他の解法)
- (n-x)(n-y)(n-z)=1200の3次方程式で整数解があるものを求める ・・・ 寺脇犬さん、大岡 敏幸さん、 他