第403問の解答


問題[整数の性質]

マサルさんは、それぞれ異なる整数の書かれた5枚カードを持っています。このカードには次のような性質があります。

 「5枚の中から2枚を選ぶと、2つの数字の差と、2つの数字の最大公約数が必ず等しくなる。」

このとき、5枚カードに書かれた5つ整数の組として考えられるものを1つ答えてください。
ただし、カードに書かれた整数は、4ケタ以内であるものとします。(答えは複数通りありますが、解答はどれか1つで結構です)


解答例1

吉川 マサルさん、数楽者さん、他
異なる整数の集合について、「に属する2つの整数を選ぶと、これらのと、これらの最大公約数が必ず等しくなる」が成り立つとき、性質Aを満たす集合と呼ぶことにします。
本問は、性質Aを満たす集合のうち、要素5個で、いずれも4桁以内の整数であるものを見つけることになります。

まず、次の2つの補題が成り立つことを示します。

(補題1)集合{(ただし、性質Aを満たすとき、×=(+1)×と表すことができます。
(このとき、で、かつ最大公約数) 

(補題2)2つの整数(ただし、が、×=(+1)×と表すことができるなら、
集合{}は性質Aを満たします。 

(補題1)の証明

最大公約数とします。
a’×b’×と表すことができます。
すると、=(b’−a’)×となりますが、≠0なので、 b’−a’=1となります。
a’とおけば、b’=a’+1=n+1だから、×=(+1)×となります。

(補題2)の証明

×=(+1)×より、b−a=pとなります。
ここで、公約数ですが、最大公約数p’とは異なると仮定します。
すると、公約数p最大公約数p’の約数となるので、p’=c×と表せます。
ここで、a''×p'b''×p’と表すことができるので、
=(b''−a'')×p'=(b''−a'')××
すると、≠0なので、b''−a''=c=1となります。
これは、p’に反します。
よって、最大公約数となるので、{}は性質Aを満たすことになります。 

さて、さらに次の補題3が成り立つことを示しましょう。

(補題3)集合{i(ただし、i<jのときiaj性質Aを満たすとき、集合{、{i}}も性質Aを満たす。
(ただし、は{i}の最小公倍数) 

(補題3)の証明

  • まず、ij(ただし、i<jについて考えます。
    ij性質Aを満たすので、補題1より、
     i×j=(+1)×jiで、かつii最大公約数)と表すことができます。

、aii最大公約数なので{i}の最大公約数である約数
よって、×と表すことができます。

すると、i××=()×iq=+1)××=()×となり、
補題2から、ij性質Aを満たすことが分かります。

  • つぎに、iとについて考えます。
    は{i}の最大公約数なので、×iと表すことができます×i

×iii×i=(+1)×iとなり、
補題2から、i性質Aを満たすことが分かります。

以上から、集合{、{i}}は、任意の2つの要素が性質Aを満たすので、集合{、{i}}も性質Aを満たすことになります。

それでは、補題3を用いて、本問にトライしてみましょう。

  • まず、{1、2}は、1=1×1、2=(1+1)×1なので、補題2により、性質Aを満たします。

  • 次に{1、2}の最小公倍数なので、{2、1+2、2+2}={2、3、4}も性質Aを満たします。

  • そして、{2、3、4}の最小公倍数12なので、{12、2+12、3+12、4+12}={12、14、15、16}も性質Aを満たします。

  • さらに、{12、14、15、16}の最小公倍数1680なので、{1680、12+1680、14+1680、15+1680、16+1680}={1680、1692、1694、1695、1696}性質Aを満たします。

答(例): 1680、1692、1694、1695、1696

以上


解答例2

うのたかはるさん、ひだ弟さん、小学名探偵さん、他
  • n|n=1のとき)n×(+1)/=2〜5のとき)}を考えます。(ただし、15432

1n=2〜5)の2個ずつは、補題2により性質Aを満たします。
残りの組み合わせでもすべて性質Aを満たすものを探索すると、n=2、=60のときOK、
  60、72、75、80、90
を得ます。

  • n|n=1のとき)n×/(+1)=2〜5のとき)}を考えます。(ただし、23451

1n=2〜5)の2個ずつは、補題2により性質Aを満たします。
残りの組み合わせでもすべて性質Aを満たすものを探索すると、n=2、= 60のときOK、
  40、45、48、50、60
を得ます。


解答例3

辻。さん、DrKさん、小西孝一さん、M.Hossieさん、uchinyanさん、おかひで博士さん、n厨さん、みかんさん、トトロ@Nさん、他多数
  • 12、2、1、1のとき題意を満たすものを探索、
     5040、5052、5054、5055、5056
    を得る。
     

  • 1、2、2、4のとき題意を満たすものを探索、
     135、136、138、140、144
    を得る。
     

  • 60をベースにそて、60の約数を足して題意を満たすものを探索、
     60、63、64、66、72
    を得る。
     

  • 公約数 3、4、5、6辺りになると踏んで、その最小公倍数である120近辺を中心に探索、
     105、108、110、112、120
    を得る。
     

  • 条件を式にして、後は試行錯誤、
     210、216、220、224、225
    を得る。
     

  • 補題2を利用してエクセルを使って探索
     

  • 720がらみで探索、
     720、750、760、780、800
    を得る。
     

  • 5つの整数の中で最大の数最小の2倍以内。それに約数の多そうな整数を選んで探索
     

  • 60あたりで探索、
     60、63、64、66、72
    を得る。


(その他の解法)