第437問の解答
問題[平面図形 、整数の性質]
左図は、ある板の上に1cm間隔で、縦18本、横20本の長方形になるようにクギを打ったところを表しています。
いま、この板の左下のクギAとそのすぐ上のクギD、右上のクギCとそのすぐ下のクギBを選び、AB、CDがそれぞれ一直線になるように輪ゴムをかけました。
輪ゴムの内側にあるクギを1本えらび、その1本とAとBを結んで三角形を作ります。このとき、できる三角形の面積は最も小さい場合で何cmでしょうか。
解答例1
Taroさん、N.Nishiさん、DrKさん、エルクさん、tomhさん、アヒーのおじさんさん、カエさん、y.kobayashiさん、経友会の進作さん、uchinyanさん、万打無さん、tapuさん、RDさん、arcさん、阪急大好き!さん、ゴンともさん、他
Aを原点とする座標で考えます。
A(0、0)、B(19、16)、C(19、17)、D(0、1)、
AB:y=16/19x、DC:y=16/19x+1
と表せます。平行四辺形ABCDの内部格子点E(x、y)に対し、
Eを通りy軸と平行な直線とABの交点をF、h=EFとすると、F(x、16/19x)、
△EAB=△EAF+△EFB=1/2×h×x+1/2×h×(19−x)=1/2×h×19従って、△EABを最小にするには、hを最小にすればいいので、
yは16/19xを切り上げた整数となります。x=1〜18のとき、これらの値を求めると、x=13のとき最小で、
16/19x=10 18/19、y=11、h=1/19
となります。
従って、
△EABの最小値=1/2×1/19×19=1/2cm2
と求まります。答: 1/2cm2
以上
解答例2
きょろ文さん、DrKさん、arijuneさん、ほげさん、M.Hossieさん、n厨さん、さいと散さん、他
一般化して、B(p、q)(ただし、p、qは2以上の整数で、互いに素)として考えてみましょう。
解答例1と同様にしても求めることができますが、
ベクトルAE=(x、y)、AB=(p、q)に対して、よく知られたように、
△EAB=1/2×|py-qx|=1/2×(py-qx)
と求まります。(EがABより上にあるので、py-qx>0)p、q、x、yいずれも整数だから、py-qxも整数値となります。
ところが、pとqが互いに素であることから、整数論の有名な性質より、
py-qx=1 ・・・ (1)
を満たす整数解(x0、y0)が存在します。このとき、
py0-qx0=1 ・・・ (2)(1)、(2)より、
p(y-y0)=q(x-x0)
pとqが互いに素より、x-x0はpの倍数。
よって、一般解x、yは、
x=kp+x0
y=kq+y0
と表すことができます。さて、整数kを1ずつ増加・減少させると、xはpずつ増加・減少します。
よって、適当な整数kをとると、0≦x<pとなります。もし、x=0とすると、y=1/pとなりますが、p>1より、yは整数でないので不適。
従って、0<x<p。このとき、
qx<y=(qx+1)/p<qx+1
となるので、点E(x、y)は平行四辺形ABCDの内部格子点となります。よって、
△EABの最小値=1/2×1=1/2cm2
と求まります。
(別解)
xi=0、1、・・、p−1に対し、qxiをpで割った余りを、ziとして定義します。
このとき、ziは全て異なる値をとります。なぜなら、もしzi=zkとします。(ただし、0≦i<k<q)
すると、qxi-qxkとなり、q(xi-xk)=0。
q>0より、xi=xkとなり、矛盾。ziはqxiをpで割った余りより、0≦zi<pで、しかもp個の異なる値を取ることから、
いずれかのiについて、zi=p-1となり、
qxi=kp+(p-1)となるk
が存在します。このとき、x=xi、y=(zi+1)/pとすると、
y=(qxi+1)/p=(k+1)
従って、
py-qx=p(k+1)-{(k+1)p-1}=1
となり、E(x、y)は、格子点で(1)式を満たす点となります。
以下、省略。
解答例3
呑さん、小学名探偵さん、那由他さん、他
ピックの定理を利用します。
解答2同様にB(p、q)としたとき、p、qが互いに素より、AB上には、A、B以外には格子点はありません。
さて、△EABが面積最小のとき、△EABには内部および辺EA、EB上に格子点はありません。
なぜなら、もし△EABの内部または辺上に格子点Fが存在するとしたとき、
△FAB<△EABより、△EABが面積最小に反します。
従って、内部点の個数I=0、辺上の格子点数B=頂点数=3となることから、
ピックの定理より、最小値は、
△EAB=1/2×3−1=1/2
となります。
(その他の解法)
CAD等で図を描いて求める ・・・ kasamaさん、ハラギャーテイさん、他