第34問の解答


1.問題 [場合の数

ある整数に対して、それが偶数の場合は2で割り、奇数ならばを足します。
そして、この操作を結果がになるまで続けます。
例えばは、6→3→4→2→4回の操作でになります。
10回の操作でになる整数全部で55個あり、
その中の21個奇数であることが分かっています。(注1)
では、12回の操作でになる整数は全部で何個ありますか。

(注1) 奇数:21個
35,37,41,49,79,87,91,93,103,107, 109,115,117,121,191,223,239,247,251,253, 511

偶数:34個
34,72,76,78,84,86,90,100,102,106, 114,160,176,184,188,190,208,216,220,222, 232,236,238,244,246,250,384,448,480,496, 504,508,510,1024


2.解答例1

 1回の操作で、
結果が偶数:(例)3→4(奇数→偶数)、8→4(偶数→偶数)の2とおり、
結果が奇数:(例)6→3(偶数→奇数)の1とおりがある。・・・・(**)

 同様に、2回の操作では、
結果が偶数:(例)6→3→4(偶数→奇数→偶数)、16→8→4(偶数→偶数→偶数)、 7→8→4(奇数→偶数→偶数)の3とおり、
結果が奇数:(例)12→6→3(偶数→偶数→奇数)、5→6→3(奇数→偶数→奇数)の2とおりある。

 従って、12回の操作で1になる整数は、
最初の2回の操作で結果が偶数:3*34=102個
最初の2回の操作で結果が奇数:2*21= 42個、合計144個である。



3.解答例2

 n回の操作で1になる偶数の個数をan、奇数の個数をbn、合計をcnとおく。

 n>2のとき、上記(**)より、

  an+1=an+bn=cn、   bn+1=anとなり、
 従って、an+2=an+1+anとなって、an、bn、cnは、それぞれフィボナッチ数列となる。

容易に、a1=1(2)、b1=0、c1=1(2)、 a2=1(4)、b2=0、c2=1(4)、 a3=1(8)、b3=1(3)、c3=2(8、3)が分かるので、
 an=1,1,1,2,3,5, 8,13,21,34,55, 89
 bn=0,0,1,1,2,3, 5, 8,13,21,34, 55
 cn=1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,144 となる。

4.全ての整数が1に到達することの証明

方法1:数学的帰納法

仮定1:n=1のときは既に1であり、n=2のとき、2→1である。

仮定2:n≦2*m(m≧1)のとき、1に到達すると仮定する。
n=2*m-1のとき、n→n+1=2*mなので、n=2*mの場合を調べれば良い。
n=2*mのとき、1<m<nなので、n→m→・・・→1。よって、nも1に到達する。

以上のことから、帰納法により、全ての正整数について、1に到達することが分かる。

 以上

方法2:背理法

もし、1に到達しない整数が存在したとする。このような整数のうち最小のものをnとする。
明らかに、n>3。
nが偶数とすると、m=n/2は整数でm>n、かつn→m→・・・→1となり、nが最小に矛盾する。
nが奇数とすると、m=(n+1),k=m/2は整数でn>k、かつn→m→k→・・・→1となり、 nが最小に矛盾する。

 以上

方法3:単調数列

nを任意の正整数とする。

nから始めまる連鎖n→・・・に出てくる整数の中から、数列ak、(k=1,2,・・・)を次のように定義する。

まず、a1=nとする。

次に、n:奇数のとき、n→(n+1)→(n+1)/2→・・・なので、a2=(n+1)/2 とする。a1>a2>0。

   n:偶数のとき、n→n/2→・・・なので、a2=n/2 とする。a1>a2>0。

同様にして、a3、a4・・・を定義する。

このようにして定義した整数の数列akは、単調に減少するが、常に正だから、有限個であり、最小値mが存在する。

もし、m>1とすれば、上記方法でmより小さい数pがあり、m→pとなるので、mが最小であることと矛盾する。

よって、最小値は1となり、nから始まる連鎖は1に到達することが示された。

 以上