第43問の解答
1.問題 [規則性・数列?]
2つのコップに水が入っています。今、量の多いほうからその半分を少ないほうに移します。
この作業を繰り返し行うと、2つのコップの水の量の差が21cm3になり、さらにもう一度作業を行うと20cm3になりました。
2つのコップに入っている水の量は、合わせて何cm3?
差が20cm3になるまでは、最高で何回の作業を行ったでしょうか?
2.解答例1(kuri他)
(水量の合計)
水量の差が21cm3のとき、水量の多いほうをA、少ないほうをBとする。
一回の操作で、Aは半分にして、BはAの半分を加えるのだから、その差は、ちょうど操作前のBの量に等しい。
すると、Aの量は、Bより差の21cm3多い41cm3と分かる。よって、水量合計は、41+20=61cm3となる。(操作を逆にたどる)
差が21cm3の一回前の水量は、Aは今の水量差21cm3に等しく、Bは今の倍の40cm3であり、従って水量差は40−21=19cm3となる。
同様にして、A=46cm3、B=15cm3、差=31cm3まで、さかのぼることができる。
ところが、同様にその直前の水量を求めると、A=31cm3、B=30cm3、差=1cm3となるが、Aの水量がBより多くなるので、操作を逆にはたどれない。
よって、操作の最高回数は、ここまでの5回である。
(答): (1)61cm3 (2)5回
以上
(補足)操作を逆にたどれるための条件
操作後の水量をA1、B1、操作前をA0、B0とする。(ただし、A1>B1)
すると、 A1=A0+B0×1/2、B1=B0×1/2より、 B0=B1×2、A0=A1−B1。
このとき、A0<B0でなければならないので、A1−B1<B1×2
よって、B1×3−A1>0。ところで、さきほどの表に、この条件式を付け加えると下表のようになる。
(補足2)一般式を求める
一番最初の水量をA0=46、B0=15、Z0=A0+B0=61、およびn回操作したときの水量をAn、Bnとし、これらのうち、大きい方をXn、小さい方をYnとする。
前述のように、Xn+1=Xn×1/2+Yn、 Yn+1=Xn×1/2。
Xnの漸化式を求めると、Xn+1=Xn×1/2+Z0−Xn、すなわち、Xn+1=−Xn×1/2+Z0となる。 このとき、Xnの極限値をxとすると、x=−x×1/2+Z0、すなわち、x=Z0×2/3となる。
これをもちいて、Xn+1−x=(Xn−x)×(−1/2)と変形できるので、Xn−xは、公比が(−1/2)の等比数列となり、Xn−x=(X0−x)×(−1/2)n、 よってXn=(X0−Z0×2/3)×(−1/2)n+Z0×2/3と表せる。
これから、Yn=−(X0−Z0×2/3)×(−1/2)n+Z0×1/3となる。さて、An、Bnは、交互に大小が入れ替わるので、 An−Bn=(Xn−Yn)×(−1)nであり、An+Bn=Z0なので、An=(X0−Z0×2/3)/2n+Z0/6×(−1)n+Z0/2、 Bn=−(X0−Z0×2/3)/2n−Z0/6×(−1)n+Z0/2となる。
X0=A0=46、Z0=61を代入して整理すると、Xn=16/3*(−1/2)n+122/3、Yn=−16/3*(−1/2)n+61/3、An=61/2+16/3*(1/2)n+61/6*(−1)n、 Bn=61/2−16/3*(1/2)n−61/6*(−1)nとなる。
(参考)
一般化しよう。一回の作業で多い方のコップから、p倍分(p<1)だけ少ない方へ移すものとすると、
Xn=(61-46*(-1+p)^n*p+31*(-1+p)^n)/(2-p), Yn=(61-61*p+46*(-1+p)^n*p-31*(-1+p)^n)/(2-p) となる。
nが大きくなったとき、Xn、Ynは、それぞれ61/(2-P)、61×(1-p)/(2-p)に収束する。これらの比は、1:(1−p)である。なお、pが1/2から1/20まで変化したときのグラフは以下の通りである。