第19問.ちゃあこさんの問題の解答
1.問題
P0=1、P1=1、Pn=6×Pn-1-Pn-2で作られる数列 、
すなわち1,1,5,29,169,985‥‥‥ について
この数列の各項の二乗は、必ずある連続する2つの整数の二乗の和に表されることを示して下さい。
(例)12=02+12、52=32+42、292=202+212
2.解答例1(ちゃめさん、サンデー毎日願望男さん、清川育男さん他)
(補題)Fn+aFn-1+bFn-2=0で作られる数列fn の一般項は、
x2+ax+b=0の2根α、βを用いて、Fn=Aαn+Bβnと表される。(A,Bは定数)
また、逆も成り立つ。(注)x2+ax+b=0は、重根を持たないことにします。
重根を持つ場合は、Fn=(Aα+B)αnとなります。Pn-6Pn-1+Pn-2=0だから、
補題より、x2-6x+1=0の2根α=3+2√2、β=3-2√2を用いて、
Pn=Aαn+Bβnと表される。
P0=A+B=1、P1=Aα+Bβより、A=(1-β)/(α-β)、B=(α-1)/(α-β)。さて、Pn2=Qn2+(Qn+1)2 ・・・(3) をQnについて解くと、
Qn=((2Pn2-1)1/2-1)/2を得ます。2Pn2-1=2(Aαn+Bβn)2-1
=2(A2α2n+2ABαnβn+β2n)-1ここで、根と係数の関係より、α+β=6、αβ=1、
および、AB=(1-β)(α-1)/(α-β)2=(α+β-αβ-1)/((α+β)2-4αβ)=1/8より、
2Pn2-1=2(A2α2n+2/8+β2n)-1
=2(A2α2n-2/8+β2n)
=2(Aαn-Bβn)2n≧1のとき、Aαn-Bβn>0が容易に示されるので、
Qn=(21/2(Aαn-Bβn)-1)/2となります。ここで、C=√2A、D=√2Bとおくと、
Qn=(Cαn-Dβn-1)/2、Cαn-Dβn=2Qn+1となる。補題より、(2Qn+1)-6(2Qn-1+1)+(2Qn-2+1)=0、
よって、Qn=6Qn-1-Qn-2+2 ・・・(4) となります。C=√2A=√2(1-β)/(α-β)=√2(1-β)/4√2=(1-β)/4
D=√2B=√2(α-1)/(α-β)=√2(α-1)/4√2=(α-1)/4なので、
Q0=(α(1-β)/4-β(α-1)/4-1)/2
=(α+β-2αβ-4)/8
=(6-2-4)/4
=0
Q1=(α2(1-β)/4-β2(α-1)/4-1)/2
=((α+β)2-2αβ-αβ(α+β)-4)/8
=(62-2×1-1×6-4)/8
=3以下、(4)より、
Q2=6×3-0+2=20、Q3=6×20-3+2=119、Q4=6×119-20+2=696、 ・・・
と全て整数になります。よって、(3)は、n=0、1、2、・・・なる全てのPnについて、
Pn2=Qn2+(Qn+1)2が成り立つ整数Qnが存在するが示された。以上
3.解答例2(中学への算数学コンさん、tomhさん他)
(1)
最初に二つの数列Qn、Rn、
ただし、Q0=0、Q1=1、Qn=2Qn-1+Qn-2、R0=1,Rn=Qn-1
によって、Pn=Qn2 +Rn2 ・・・(1)と表されることを数学的帰納法を使って示す。
・n= 0、 1、 2のとき:
P0=1=Q02 +R02= 0+1、 P1=1=Q12 +R12 = 1+0、P2=5=Q22 +R22 = 4+1
となり、(1)は成り立つ。
・n≦k(ただしk≧2)のとき、(1) が成り立つと仮定する。
Qk+12+Rk+12
=(2Qk+Qk-1)2+Qk2
=5Qk2+4QkQk-1+Qk-12
=6Qk2+6Qk-12−Qk-12 −(Qk-2Qk-1)2
=6Qk2+6Rk2−Qk-12 −Rk-22
=6(Qk2+Rk2)−(Qk-12 +Rk-22 )
= 6Pk -Pk-1
= Pk+1
となり、n=k+1 のときも (1)は成り立つ。
よって、帰納法により、n≧0以上の整数nに対して、(1) は成り立つ。
(2) Pnの二乗を評価する。
Pn2= (Qn2 +Rn2)2= (Qn2 −Rn2)2+(2QnRn)2.
よて、 Pnの二乗は二つの整数Qn2 −Rn2と 2QnRnの二乗の和で表すことができる。
また、Qn−Rn=Qn−Qn-1で、Qnが単調増加の数列だから、
Qn−Rn≧0 (ただしn≧1)。
(3) 最後にSn=(Qn2 −Rn2)− 2QnRn=(-1)n+1 …(3)であることを示す。
・n=0、1 のとき:
S0= 02 -12-2・0・1 = -1、S1= 12 −02−2・1・0 = 1となり、(3) は成り立つ。
・n≧k(k≦1)のとき、(3) が成り立つと仮定する。
(Qk+12 −Rk+12)− 2Qk+1Rk+1
=(2Qk+Qk-1)2−Qk2 −(2Qk+Qk-1)Qk
= −Qk2 +Qk-12+2QkQk-1
= −(Qk2 −Qk-12−2QkQk-1)
=-Sk
= -(-1)k+1
= (-1)k+2
となり、n=k+1 のときも (3)は成り立つ。
よって、帰納法により、0以上の整数nに対して、(3) は成り立つ。
これは、二つの整数 Qn2 −Rn2と 2QnRnの差(絶対値)が常に1であることを示している。
以上から、Pnは二つの連続した整数の二乗の和で表すことができる。
(補題の証明)
ここでは重根を持たない場合のみ考えます。
根と係数の関係から、α+β=-a、αβ=bが成り立ちます。
よって漸化式は、Fn-(α+β)Fn-1+αβFn-2=0となります。これから、Fn-αFn-1=β(Fn-1-αFn-2)と変形できるので、
Fn-αFn-1は公比βの等比数列となります。
初項f(1)-αf(0)をCとおくと、Fn-αFn-1=Cβn-1 ・・(1) となります。同様に、Fn-βFn-1=α(Fn-1-βFn-2)とも変形できるので、
Fn-βFn-1=Dαn-1 ・・(2) となります。(1)×β-(2)×αより、(β-α)Fn=Cβn-Dαn、
よって、Fn=(D/(α-β))αn+(-C/(α-β))βnとなります。逆に、Fn=Aαn+Bβnのとき、
Fn+aFn-1+bFn-2
=(Aαn+Bβn)+a(Aαn-1+Bβn-1)+b(Aαn-2+Bβn-2)
=Aαn-2(α2+aα+b)+Bβn-2(β2+aβ+b)
=0(証明終わり)