ピックの定理

(証明)

P格子多角形頂点が全て格子点)のとき、
 P面積A(P)
 F(P)=1/2×B(P)I(P)−1
と表すこととします。


(補題1)F(P)は、加法性がある。
すなわち、格子多角形P2つ格子多角形P1P2に分割されるとき、
P=P1
P2のように書くとすると、
 F(P1
P2F(P1F(P2
 F(P1P2F(P1F(P2
が成り立つ。

参考図1

(証明)
P1
P2共通部分Pの内部にある格子点数aとすると、
B(P1P2)=B(P1B(P2)-2a-2
I(P1
P2)=I(P1I(P2) +a
よって、
 F(P1P2)
=1/2×B(P1+P2)+I(P1+P2)-1
=1/2×{B(P1)+B(P2)-2a-2}+{I(P1
I(P2) +a}−1
={1/2×B(P1)+I(P1)−1}+{1/2×B(P1)+I(P1) −1}
=F(P1)+F(P2)

従って、
 F(P1)=F((P1−P2)+P2)=F(P1−P2)+F(P2
よって、
 F(P1−P2)=F(P1)−F(P2


(補題2)任意の格子多角形は、格子三角形に分割できる

参考図2

(証明)
任意の多角形三角形に分割することができる(証明略)ので明らか。


(補題3)任意の格子直角形、格子直角三角形についてピックの定理が成り立つ。

参考図3

(証明)
まず、格子長方形Pの場合、横の長さp縦の長さqとします。
B=2p+2qI=(p-1)(q-1)より、
F(P)=1/2×(2p+2q)+(p-1)(q-1)−1=pqA(P)
よって、ピックの定理が成り立ちます。

次に、直角三角形Pの場合、補題1より、F(2P)2F(P)
また、2P長方形だから、F(2P)A(2P)2A(P)
よって、F(P)=A(P)となり定理が成り立つ。


(補題4)任意の格子三角形についてピックの定理が成り立つ。

参考図4

(証明)
格子三角形P
外接する格子長方形P0とすると、
ケース1では、P=P0-P1-P2-P3だから、補題1より、
F(P)F(P0-P1-P2-P3)
  =F(P0)−F(P1)−F(P2)−F(P3)
  =A(P0)−A(P1)−A(P2)−A(P3) ←補題3
  =A(P)
となり、Pについても定理が成り立つ。


さて、任意の格子多角形P補題2より、格子三角形PP2、・・・、Pnに分割されます。
補題1加法性より、
F(P)=F(P1+P2+・・・+Pn
   =F(P1)+F(P2)+・・・+F(Pn)
  =A(P1)+A(P2)+・・・+A(Pn) ←補題4
  =A(P)
となり、Pについて定理が成り立つ。